これは初代理事長 斉藤全彦が掲げ、本フォーラムの礎となった言葉です。良き景観とは、一朝一夕に生まれるものではなく、長い時間の積み重ねの中で育まれていくものです。景観十年、風景百年、風土千年といわれているように途方もない記憶の堆積によって成り立っています。景観の無いところに風景は生じず、風景の無いところに風土も成立しません。そして風土の無い住空間は殺伐たるものとなり、健全なる五感を働かせて暮らすことの出来る人々の住まう場ではあり得ないのです。
日本の近代化は、東洋社会における成功事例として示されることが多々ありました。しかしそれは、GDPの増大という物質的な豊かさの達成に過ぎません。大量生産・大量消費・大量廃棄という不可逆的システムは、個性を失った紋切り型の景観を生み、人と人との繋がりを失わせるという負の遺産を住環境に残しました。初代理事長は、この危機感のもと、良き景観と良きコミュニティを取り戻し、新たに作り上げるための共生の場(フォーラム)として、日本景観フォーラムを設立されました。
時代は移り、私たちが今向き合うべき課題もまた新たな様相を呈しています。地方では人口減少が進み、永く土地の景観を支えてきた担い手が年々失われています。手入れの行き届かぬ空き家・空き地は静かに増え続け、景観の質を内側から損ないつつあります。気候変動による自然災害もまた、私たちが守り継いできた風景の存立を脅かしています。
一方で、デジタル技術の進展は、景観をこれまでにない形で捉え、伝え、未来へつないでいく新たな可能性を私たちに開いています。これまで足を運んだ者しか出会えなかった景観を、より多くの人と分かち合い、まだ見えていない景観の変化や可能性を、新しい目で読み解いていく――そうした道もまた、開かれつつあるのです。
このような時代において、私たちの責務は、景観を「守るべきもの」として留め置くことだけではありません。これを「次代へ手渡すべきもの」として捉え直すことにあると考えています。
担い手が不足するならば、地域内外の多様な人々が関わり得る仕組みをつくる。空き家・空き地が増えるならば、それを負の遺産とせず、新たな風景を育む土壌として活かす道を探求する。自然災害と向き合うならば、景観の持続可能性そのものを防災・減災の視座から見直す。そしてデジタル技術が広がるならば、これを景観の新たな可能性を切り拓く力として、慎重かつ丁寧に取り入れていく。そうした姿勢を、これからも大切にしてまいります。
景観十年、風景百年、風土千年という時間の堆積は、私たち一人一人の営みが、未だ見ぬ未来の世代の暮らしへと静かに連なっていることを教えてくれます。住民・企業・行政、そして次代を担う若い世代が共に集い、語り合い、手を携える共生の場として、日本景観フォーラムをこれより先も育んでまいりたいと思います。
良き景観と良きコミュニティの循環を、次世代へ。
特定非営利活動法人日本景観フォーラム 理事長 尾崎孝行
| 役職 | 役員名 | |
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| 理事長 | 尾崎 孝行 フォトグラファー |
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| 理事 | 斉藤 全彦 英国国立ウェールズ大学経営大学院准教授、専修大学・駿河台大学・松蔭大学兼任講師 日本景観学会理事、日本経営倫理学会会員、日本GNH学会会員・地域デザイン学会会員 |
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| 理事 | 石見 茂夫 フィンランド健康福祉センター・FWBCフィンランドOy東京事務所代表 |
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| 理事 | 豊村 泰彦 | |
| 理事 | 東海林 伸篤 | |
| 監事 | 石山 力 税理士 |
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